余部鉄橋の架け替え問題の続き。
新橋は「PCエクストラドーズド橋」。どういう橋なのかキッチリ勉強しておこう。
PCとは「プレストレス・コンクリート」のこと。通常の鉄筋コンクリートのことをRCと呼ぶが、PCはあらかじめ左右から引っ張って張力を持たせた鋼材に高強度のコンクリートを流し込んで作る。コンクリートは圧縮には強いが引っ張りには弱いという弱点がある。RCは、中に鉄筋を入れることにより引張力に対して補強するのだが、極度に引っ張るとコンクリートがひび割れて強度の低下を招くため、引っ張りに対しての心配が無縁な建設物には有効だ。しかし引張力が問われる橋やタンクなどの建設にはPCが必定。元々圧縮には強いコンクリートに、更にあらかじめ大きな圧縮力を持たせておくことにより引っ張りに対する有効性を確保するということだ。
橋の歴史の中で、素材として最も古いのは木や蔓(つる)。その次が石。鉄が約200年前産業革命以降に使われ始め、コンクリートの歴史はまだ100年程で、PC橋に至ってはまだ50年程度の実績しかない。
例の会議で「新橋の耐用年数は?」と尋ねたら、県の職員は「100年です」と得意げに大見得を切ったが、それこそ机上の空論に過ぎず、100年持たせるためのメンテ方法や費用については一切何の説明もなかった。
ボクが心配するのは、コンクリートが水分を透すところ。潮風にさらされて、コンクリートは平気でも塩水の進入に因り、中の鉄筋が錆びてポロリ、は絶対無いのかというところ。海辺ではむしろ鉄剥き出しの鉄橋のほうが有効だとする学者が存在するのも確かなのだから。
橋のカタチ「エクストラドーズド橋」というのは、PC橋内部のケーブルを引き出して支柱に架けることにより橋桁を支える構造にしたもので(写真の↓の部分)、支柱間の距離を稼げるという利点があるらしい。支柱の数を最小限にするための採用だろう。
高速道路、新幹線、等々。現代人は、より速く、より近く、より便利に、と盲目的に突き進んできた。それが悪いとは言えないが、それによる功罪を検証する知力があってもよい。先達たちの遺産がすべて「古く」て「劣っている」とするのは、明らかに現代人の自惚れである。
この鉄橋を「架け替えない」というメッセージは、全世界の人々に届きうるでっかい「チカラ」がみなぎっている。安直に「最新式」に取り替え、遺産を廃棄する浅はかさは大いなる「恥」を得、我が町はその歴史に大きな汚点を残すだろう。
しかし、結果はその道に至る。この町には、それを阻止するだけの「勇気」も「夢」も「主張」もない。行政にとってはなんと与し易い住民たちか、、、。
