いつの間にやら季節は6月、、、。
新緑に風が薫る爽やかな季節も束の間、やがて梅雨か、、、。
先日紹介した新作007映画「カジノ・ロワイヤル」
何度もお店で流しているが、実は一番ハマっているのはボクかも、、、(笑)。
ジェームズ・ボンドと言えば「ウォッカマティーニ、シェイクで、、」が決まり文句。
イギリス人なのにジンではなく東側のお酒・ウォッカで、通常ステアで作るマティーニを「凍るくらいよくシェイク」させる。東側との冷戦構造を表現している、と深読みする向きもあるようだが、ボンド一流のシャレと軽く受けるほうがスマートだ。
ボンド小説は、この「カジノ・ロワイヤル」が処女作なのだから、彼のお酒の趣味を読み取るためのルーツを探るのも興味深い。
カジノで、ウェイターを呼びお酒を注文するシーンがある。
字幕だとどうしてもシンプルな表現になってしまうが、、、。
B「マティーニ」
w「ウィ、ムッシュ」
B「待て、ジン3にウォッカ1、キナ・リレ1/2、レモンピールのスライス」
原語ではこうだ
「Dry Martini...」
「Oui,Monsieur」
「Wait...three measures of Gordon's; one of vodka; half a measure of Kina Lillet. Shake it over ice, and add a thin slice of lemon peel. 」
直訳すると
「ドライマティーニを、、、」
「待て、ゴードン(ジン)を3、ウォッカを1、キナ・リレを0.5をよくシェイクしてレモンの薄皮剥きを入れてくれ」
となりそうだが、時間と戦う「字幕」の性(さが)で、中々細かいニュアンスまでは伝わらない。
ジンはゴードンを指名している点や、ただのレモンピールではなく「薄めにスライスして」と指定しているところに、字幕だけだと伝わらぬディティールがある。
特にこの物語は、今回現代のシチュエーションに移し替え、随所に脚色が加えたワケだが、あえてこの場面のセリフだけは原作に忠実にしたのだとか、、、。
毎回、ボンドのお酒の注文シーンは要注目だが、今回、世界中のバー関係者のみならずボンドマニアも含めて、広く耳に留まったのは「キナ・リレ」という名前ではないだろうか。
さすがにボンド映画だ。ネットで「キナ・リレ」とキーボードを叩いただけで、様々なところでヒット。このお酒が物凄い勢いで話題に上っているのがわかる。
「キナ・リレ」はフランス・ボルドー産の食前酒。しかし既に生産されておらず、しかも日本には未輸入。現在「リレ・ブラン」「リレ・ルージュ」の2種類が輸入されているが、リレ・ブランがこれの後継品。しかし何せ従業員数僅か7人のリレ社。元々の生産量の少なさに加え、この映画で大ブレイクしたお陰で世界中から注文が殺到し、てんやわんやの大騒ぎ。生産が追いつかず日本への再入荷の見通しは立たっていないとか、、、。国内の僅かな在庫品は売り切れ続出で、定価1500円程度の代物がヤフーオークションでは2万円前後の価格で出品されている始末。呆れてモノも言えない状態。
従って「ヴェスパー・マティーニ」はしばらく作れそうにない。
ちなみに「キナ」は香料・キニーネを採る樹皮。
キニーネはマラリアの特効薬とされているが、ワインをベースにキニーネや果実のエキスを加えて作るお酒らしい。赤白あるのもそれ故。
イギリスのジンに東側のお酒を加え、物語の敵役・フランス人、ル・シッフルに引っかけての「キナ・リレ」とは、まさに若きボンドの遊び心がはじけているというべきだ。

一夜にして超人気者「リレ・ブラン」
バーでこのボトルを見かけたら「ヴェスパー」を、、、。

海外のボンドマニアサイトに掲載された正調?「ヴェスパー」