電気的に加工したサウンドの音楽ばかり耳にしていると、アコースティックな楽器の音色にやたらとホッとする瞬間がある。最近またもや生演奏から遠ざかっているので尚更だ。
木管楽器の音色、ソロもいいが、木管五重奏程度のアンサンブルが醸し出すハーモニーは独特な柔らかさがあって心地よい。木管五重奏とは、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンの構成。ホルンは金管楽器だがルーツは角笛。
実はボクが木管五重奏と出会うきっかけにもなり、愛してやまないレコードがあった。
買ったのは高校生の頃。高校の音楽室にあったのがそもそもで、当時ホルンを吹いていたこともあったが、何と言っても演奏の素晴らしさに圧倒されすぐに自分でも買った。
シュターミッツ、ダンツィ、ライヒャといった、ベートーヴェンと同時代に活躍した作曲家たちの木管五重奏曲を集めたアルバムで演奏者が、ローター・コッホ(オーボエ)、カール・ライスター(クラリネット)、ギュンター・ピースク(ファゴット)、ゲルト・ザイフェルト(ホルン)、そしてフルートがあのジェームス・ゴールウェイという凄いメンバー。(ゴールウェイがまだベルリンフィルに在籍していた頃で、世に大して名前が知れ渡っていたワケでなく、名前の表記も「ガルウェイ」となっていた。)1971年の録音だから、カラヤン全盛期当時のベルリンフィルが誇るトッププレーヤーたちで、間違いなく世界一の面々。今にして思えば知る人ぞ知る名盤だろう。
しかし、レコードが姿を消しCDに移り変わる中で、待てど暮らせどこのレコードはCD化されず、埋もれてしまったものと諦めていた。
月日は流れ、5〜6年前のある時、CDショップの輸入盤売場でこのCDを見つけた。室内楽のコンピレーション的アルバムに焼き直しされた中に、あの演奏の数々がすべて収録されていた。
我ながらよく見つけたもんだ。

「音楽で世の中を変えることは出来ないが、人を救うことは出来る」と誰かが言った。
けだし名言。
ボクは、このCDに何度も救われている。






