list スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 スポンサー広告 |

list ならばすぐ植えよ

富士山が世界文化遺産に登録されたのは記憶に新しいところ。
当初、距離的に離れすぎているという理由で「三保の松原」が除外される勧告がなされていたが、関係者の熱心なロビー活動が稔り、駿河湾越しに臨む三保の松原の文化的価値が認められ、勧告をくつがえし一括登録を勝ち取るに至った。その一番の功労者は当時の文化庁長官・近藤誠一氏を於いて他にない。

正式登録名は「Fujisan, sacred place and source of artistic inspiration 」
日本語表記「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」


この7月で長官を退任された近藤氏が豊岡に来られ講演されることをポスターで知り、是非ともお話を聞きたくて出かけた。物静かな語り口で一言一言に含蓄があり、永らく外交官やユネスコ大使として日本の外交に尽くしてこられた経験を伺うに余り在るお話だった。実はこの講演会が、来年春に城崎に開設される「城崎国際アートセンター」のプレ事業であることを後半のパネルディスカッションで改めて知った(笑)。

DSCN0858.jpg



順に解説。

「城崎大会議館」という施設。元々兵庫県が作り城崎町(現在は豊岡市)に貸与されている大きな箱モノ。1000人収容のホールと約30人分の宿泊施設が併設されているが、老朽化もあり豊岡市に無償で払い下げられた。しかし利活用の方法にも苦慮し取り壊しも検討されたが、存続させ「AIR」(アーティスト・イン・レジデンス)としてリニューアルされることとなり、いよいよ来春「城崎国際アートセンター」としてスタートするのだ。

17322228.jpg

で、アーティスト・イン・レジデンスとは何か?
各種の芸術制作を行う人物を一定期間ある土地に招聘し、その土地に滞在しながらの作品制作を行わせる場所。

このレジデンス事業には国から助成がある。これは昨年から施行された「劇場法」(※)による。この法整備を成し遂げたのが当の近藤氏なのだ。現在「AIR」は国内に約50箇所あり、内20の施設が文化庁から助成を受けているが、城崎は国内でも最大規模の施設となるらしい。これは国内に留まらず世界的に見てもアーティストにとって魅力大で、とりわけ「温泉地」というバリューは決定的だとか(笑)。
今回パネリストで参加された劇作家の平田オリザ氏は、劇場法施行にも尽力されたお一人だが、この城崎のプロジェクトにも深く関わるキーマン。この施設オープンに際し、ここで新作を制作し、フランス人俳優を起用して世界初演することや、日本劇作家協会の大会を開催することを決定した。

具体的にいうと、国内外から演劇(劇団)、舞踊(舞踊団)、音楽、美術等のアーティストがここに一定期間滞在し作品を制作する。作品や作家を通して「城崎」という存在を世界中に拡散させブランド力を高める狙いがある。

しかし、モノがアートなだけに集客力や認知度アップに関して即効性に乏しい。気長に続けることが大切と近藤氏はクギを刺す。志賀直哉の「城の崎にて」を凌駕するようなブランド力を構築するためには苗木をじっくり育てる気概が不可欠で、近藤氏は3つのポイントを挙げられた。

①先進性があり、精神的柱となるリーダーが必要
②文化、芸術に造詣の深い芸術監督が必要
③住民の理解や寛容性が必要

①は町長や市長。②は現場を掌握出来る優秀なプロデューサー。③は得体の知れないヨソ者を受け入れる寛容な気持ちを持つ努力。

この提言は、今回の事業のみならず「町興し」全般に対する教訓でもあるのではないか?一過性の盛り上がりはライフタイムが短い。もちろんそういうイベントも必要だが、大切なのは中長期ビジョン。「城の崎にて」からちょうど100年。向こう100年間通用するブランド作りには、もう「たまたま」とか「思いがけず」とか偶然はあり得ず、必然の上に成り立つことが歴史を確固たるものにする。

平田オリザ氏の言葉が印象的だった。
「地元の人たちは自分たちの街の魅力をよくわかっているように思っているが、ヨソから来た人間は地元民が気づかない部分に魅力を発見する。異分子を受け入れる寛容さが大切。」

全く同感。
お隣豊岡市の観光施策は、市長が提唱する「小さな世界都市」を目指し、一本筋の通ったコンセプトに沿って実に戦略的だ。比べると我が町には恥ずかしくなることばかり。我が町では未だに「地元のことは地元の人間が一番知ってる。わざわざヨソの人間に教えてもらう必要はない」と世界認定されたジオパーク推進事業にすら理解を示さない要人が多い。そもそもヨソの人たちから学ぶということは、即ちお客さん目線でものを見たり考えたりすることではないのか?
お客さん目線も持てず観光立国だって?観光客を増加させるだと?
ちゃんちゃらおかしい。的外れな己を省みるがよい。

要人には猛省を促したいね。もっと他人に学べよ。でなけれは、せめて邪魔だけはするなと言いたい。




そして、近藤氏は最後にこう締めくくられた。

かつてユベール・リヨテというフランスの将軍が、庭に樫の木を植えたいと庭師に言ったところ、庭師は樫は成長が遅く、植えてから大木になるまでに100年もかかると言って難色を示した。しかし将軍は「それだったらなおのこと時間を無駄にしてはいけない、今日の午後すぐ樫を植えなさい」と命じたという話を思い出します。皆が短期思考に流されがちな今こそ重要なエピソードです。




賢者の言葉は的確だ。
賢者の言葉から何も学べない愚者はいつまでたっても愚者のまま。




※『劇場、音楽堂等の活性化に関する法律』(平成24年法律第49号)
通称「劇場法」

全国にホールはたくさん出来たが、実際には有効にフル活用されているとは言いがたく、宝の持ち腐れになっている例も多い。そこで「観るだけの劇場」から「創ることのできる劇場」へと可能性を広げるべく施行。これまで無かった補助事業のメニューも設けられた。




スポンサーサイト
【2013/09/24 15:14】 主張 | track back(0) | comment(0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。