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ヴァイオリンの音・う・ち 
2007.02.04.Sun / 15:30 
様々な楽器があるが、ヘタだと身の毛もよだつ程の騒音なのに、名手だと心を鷲づかみにする程の音色を奏でる楽器と言えば、その最たるものは「ヴァイオリン」だろう。
音程がはずれてたり、弦を弓でこする技術が拙いと「キーキーギーギー」神経を逆なでする雑音でしかない。まあ、そんなレベルは間違いなく最低次元の話。
最高水準のレベルにおいて、演奏技術がいくら優れていても「楽器の良し悪し」が一番影響するのもこのヴァイオリンだ。
かつて、音楽関係の仕事に携わっていたとき、有名なヴァイオリニストの門下生の演奏会をお手伝いさせて頂いたことがあった。名演奏を披露した高校生の弟子を見ながら師匠が一言
「この子にあと1つ足りないのは楽器なのよ」
つまり、〜100万円程度の楽器ではこの先コンクールなどで勝って行けないと言うのだ。ピアノなら、自前の楽器を持ち運ぶことはない。管楽器だって、アマチュアが使う楽器とプロの使う楽器にそんなに違いはないし、最高級品といっても弦楽器の比ではない。

いつだったが、サントリーホールで樫本大進(世界を飛び回る若手ヴァイオリニスト)が来日オーケストラの演奏会に登場し、ブラームスのコンチェルトを弾いたとき、終楽章の途中で弦の一本が切れてしまい、すかさずコンサートマスターの楽器を取り上げ演奏を続けるという場面に遭遇した。指揮者(マゼール)の機転で演奏が止まることはなかったが、楽器の音色が、それまでとあまりに違い過ぎることを聴衆は一人の例外なく感じただろう。それまで輝きに満ち溢れていたあの音色はなく、演奏技術だけではそれを埋めることは出来なかったのである。海外トップクラスのオーケストラだし、コンサートマスターともなればそんなに安物の楽器ではあるまいが、その差は歴然としていた。
樫本大進の愛器はストラディヴァリウス。その中でも「ジュピター」と名付けられた名器だ。現在、世界トップクラスの奏者のほとんどが、ストラディヴァリやグァルネリといったイタリアの名工が300年前に作ったアンティーク楽器を愛用している。その時代の楽器の音色が秀でているからだが、価格も天文学的だ。ストラディヴァリウスなど、現存するヴァイオリンが約600挺と言われ、その中でも「愛称付き」の物はたいていがウン億円。奏者個人の所有品もあるが、財団や学校、自治体などが所有してアーティストに貸与している例が多い。樫本氏の楽器もある財団からの貸与である。で、この「ジュピター」は以前、五嶋みどりが弾いていたとか、、、。現在彼女は「グァルネリウス」を弾いている。これもある財団からの終身貸与である。きっと音色の好みの問題化かと思う。
ちなみに、ストラディヴァリとグァルネリは、アマティという師匠のもとで共に修行したライバル。作品もそれぞれの個性が魅力となり「双璧」と呼ばれ、アーティストの間でもストラディ派とグァルネリ派に分かれていたりする。

あの時の高校生はどうなってしまったのだろう。サラリーマンの家庭で高額の楽器など望めるべくもなく、音楽をやめるか否かまで悩んでいた、彼女、、、。ストラディヴァリウスを無償で借りられるくらいまで登り詰めていてくれればいいのだが、、、。


日曜の午後、久しぶりにヴァイオリンの音色に癒される。
大好きな、モーツァルトの「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲」(K.364)を、、、。
五嶋みどりのグァルネリウス「エクス・フーベルマン」が心の奥まで染み入った。

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