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list やはり、サー・サイモンはスゴかった

前回書いたとおり、サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団を聴いて来た。

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ラトルは、この6月に16年間勤めた世界最高峰のオーケストラ(ベルリンフィル)の総帥を退任したばかり。年齢的にはまだ63歳だから、まだまだその地位に留まり続けることは充分可能だっただろう。
しかし退任するにあたって制作されたドキュメンタリーの中で彼はこう言っていた。

「自分が80歳になったとき娘はまだ21歳。それまで長生きしたい。この先自分の音楽キャリアをここで続けていくことを考えたらそれはしんどい」と。

それは、ベルリンフィルとの仕事がいかに神経をすり減らす仕事かということを物語っている。今回、有料のプログラムブックにあったある方の寄稿文を読んでその一端を知った。実は、端で見ている以上に葛藤の連続だったという。このオーケストラは客演指揮者には優しいが常任指揮者には厳しいとか。まあ、お客さんには甘く、身内には厳しいのは道理だろう。少しの指示やフレーズの解釈にも、従順に従うことは無く、常に議論して全員が納得しないと前に進まないという。それはなかり高次元な芸術的探求姿勢の表れであるのだろうが、リハーサルの半分近くを議論や説得に費やすというのは確かにしんどい。ドキュメンタリーの中でラトルはジョーク混じりにこうも語った。

「私が辞めて、今後再び客演するときは、みんな私の言うとおりに弾いてくれるでしょう」と。

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数年前、佐渡裕が始めてベルリンフィルの指揮台に立ったとき、世界一の天才集団、と言っていたが、世界一自我が強い音楽家集団とも言える。カラヤンが圧倒的支配力で絶対服従を強いて君臨した時代は過ぎた。カラヤン亡き後、後任に指名されたクラウディオ・アバドが、楽員一人一人の自主性を尊重する音楽作りを進めたことも、自我意識に目覚めさせた要因かもしれない。そして、アバドの後任に楽団の総意で迎えられたのがラトルだ。楽員たちは、次のステージに向かう可能性をラトルに託した。ラトルは着任時「21世紀のオーケストラを目指そう」とその指針を告げたそうだ。言葉通り、数々の新しい試みを打ち出し改革も進めた。カラヤンやアバド時代以上に超高機能かつ超柔軟なウルトラスーパーオーケストラになったのもそれらの挑戦が成功した証だろう。「ドイツ的」なテイストが薄れ、ユニバーサルなオーケストラに感じるのも、イギリス人の持つ感性の結実なのかも知れない。16年間の成果は誰の目にも明かだろう。

そんなラトルが、次のフィールドに自国の名門・ロンドン交響楽団を選んだのも興味深い。逆に考えれば、ロンドン響が自国が生んだ世界一のマエストロを放っておくハズがないともいえる。クセが凄いドイツ人より、気心通じる自国人なら意思疎通に苦心することもないだろう。

お目当てのマーラー9番は圧巻!まさに予想通り、いやそれを超えた素晴らしい演奏だった。
曲の冒頭から最後の静寂まで、全てラトルが思う通りに「語り尽くした」歴史的な名演。細かいフレーズはもちろん、休符までもディテールを損なわず、ムダな主張は一切無く、大音量のトゥッティですら計算され尽くされていた。ベルリンフィルに劣らぬ管楽器トップ陣の変幻自在な存在感は超一級品で、これこそ現代で聴くことが出来る最高峰のマーラー9だと確信した。聴き終えて一週間近く経った今でも興奮が覚めていない。

ベルリンでの16年の「鍛錬」が、就任1年目のロンドン響で大爆発している。
残念ながらベルリンフィルとの実演は一度も聴くことが出来なかったが、ロンドン響との今後は決して聴き逃してはなるまい。
やはり、サー・サイモン・ラトルはタダ者ではなかった。

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この日の大阪が来日初日。その後東京に移ったのだが、公演後の楽屋で、ロンドン響がどれだけ素晴らしいか興奮気味に語るマエストロの様子を知り合いの関係者から伝え聞いた。
ますますサー・サイモンから目が離せない。



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【2018/09/28 20:58】 音楽 | track back(0) | comment(0) |
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